14人が本棚に入れています
本棚に追加
「予想通りだけど、午前中は誰も来ませんでしたね。昼は閉めて、みんなでお昼を食べましょう。峯田が何か調達してきてるので」
蚊鳴屋は彼の自宅と店がつながった構造をしていて、店の奥がリビングになっている。といってもそこそこ年季の入った家なので、リビングというよりは「居間」と言った方がしっくりくるかもしれない。
すぐに峯田が三人分のファストフードを買ってきた。
「何でもいいって言ったけど、正月からこれかよ」
「もうお正月は終わったよ。おせち食べ飽きて、そろそろこういうの食べたくなってきたでしょ」
「俺はそうだけど、おまえは正月どうしてたんだ、ちゃんと食べてたのか? むしろ、こういうのばっかりじゃなかったのか?」
峯田は、今はこの蚊鳴屋の家に居候をして暮らしているが、年末年始は一人で暮らしていたらしい。
「やだな、プロなんだからそんな堕落した生活してられないよ。……まあ、そうならないように、浮葉が高級おせちを送ってくれたんだけどね……」
「何のプロなんですか?」
サンタが訊ねると、峯田は
「ぼく、プロレスラーなんだ」
と言ったので面食らった。
最初のコメントを投稿しよう!