2 サンタのするサンタクロース以外の仕事

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 峯田ペペ、どこか外国のハーフで、昨日落ちてきたサンタに一番に手を差し伸べてくれた、一日しか付き合いがなくてもわかる、ムードメーカーで社交的なおとこだ。もうちょっと具体的に言うと、ポメラニアンに似ている。昨日からたまに話に出てくる彼の恋人というのがどういう人物か気になるが、それにしてもプロレスラーには見えない。 「あ、反応に困ってるね。今はシーズン外なんだけど、春になったらまた今年のトーナメントがはじまるから、ぜひ応援に来てね」  そう言いながらハンバーガーを配る。たしかに、身のこなしは軽く、腕など、よく見ればしっかりとした筋肉がついている。が、そういうところではなくて、プロレスラーと聞いて想像する闘志というか、オーラというか、そういうものだ。 「今までは悪役レスラーをやってたんだけど、今年からベビーフェイスになるから、ちょっと緊張するな」 「ベビーフェイス?」 「来期から『ぜんだま』に転向するんだ。いろいろあって。けっこう緊張してるんだけど」 「……そ、そもそも、悪役だったというのが想像できないんですが……」 「そうお? 悪役は悪役で、けっこう決まってたと思うんだけどな。写真見る?」  帯刀携帯借りるよー、と、キッチンにいる蚊鳴屋に声をかけると、おー、と話を聞いているんだかいないんだかな返事が返ってきた。テーブルに置いてあったスマートフォンを勝手知った様子で操作する。 「自分のケータイでは撮ってないからさ」     
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