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「蚊鳴屋さん、あけましておめでとうございます」
「うん、今年もよろしく。年賀状も届いてたよ。わざわざありがとう」
「いえ」
礼儀正しく腰を折るおとこをよく見ると、大きな瞳に穏やかな表情で、とても悪いことを企んでいるようには見えない。
「ハワイどうだった? いいな、バカンス。焼けたね」
そう言われて、照れたように笑った。
「あの、これお土産です」
「わざわざありがとう。峯田は、三時くらいにどこかに行ったよ。たぶんジムかな」
「あ、そうなんですね……。さっきLINE送ったんですけど、見てないみたいで」
「なんか、改めて会うことに照れてるみたい。麦くんちで待ってればいいのにここに帰ってくるし、帰ってくる頃を見計らってでかけちゃうし」
蚊鳴屋は軽い冗談で言ったようだったが、浜麦はシュンとしてしまった。
「旅行中もしつこくLINE送ってしまったので、うんざりしてるのかな」
彼が峯田の恋人か、とサンタは見当がついた。
思ったより若い。峯田よりも年下なのが意外だったが、ふわふわした峯田に比べて、ずいぶんしっかりものに見える。
「そんなことないよ。よかったら峯田が戻ってくるまでうちで待ってる?」
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