1 サンタクロースが降ってくる町

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 蚊鳴屋と峯田が浮葉を見た。どうあっても、この落ちてきたおとこは浮葉の名前を呼んだのだから、知り合いのはず。しかし浮葉は、マフラーで鼻元まで隠して仏頂面をしている。自分たちは慣れているから忘れているが、そういえば彼は極端な人嫌い、人見知りだった。そしてこれは人見知っている図である。 「知り合いじゃないの?」  峯田が相互を見ながら尋ねる。  浮葉はしぶしぶと言った様子で 「……あのときのサンタか」  と言った。 「サンタ? って、サンタクロース?」  峯田がおとこを見た。彼は若くて、スマートな美形だ。サンタというとイメージする、恰幅の良い赤い服を着たサンタクロースのイメージではない。 「ええ、一応……」 「っていうか、どこから来たの? 浮葉に会いにくるにしても、古墳を転がってくることはないと思うけど……」  峯田が指摘するが、サンタは頭を打ったショックか、ええと、と言ってはっきりと答えない。 「あれじゃないか?」  蚊鳴屋がそう言って上を指した。透き通るような青い空を全員で見上げると、何か、鳥にしては大きく動き方も違い、飛行機にしては小さい何かが遠ざかっていく。 「何、あれ?」 「はっきりと見たわけじゃないけど、あなたがサンタなら……」  ソリだろうな、と蚊鳴屋は言った。去っていくあの物体が、何頭かのトナカイが空を駆けていく動き、と言われればそんなような気もする。実際に見たことはないはずなのに。     
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