47人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
畳まれたパジャマ
午後8時。
閉園間際の遊園地のチケット売り場に私達はいた。
「11月22日、本日のみ有効です。あと1時間で閉園ですが、よろしいでしょうか?」
私達は「はい」と答えると、夜の遊園地へ入った。
「綺麗だね」
夜の遊園地を彩る電飾は、まるで宝石のようだった。
「そうだな」
私達の中身はまだ入れ替わったまま。
「俺、反省した。主婦って大変なんだな」
「私も。私じゃ嘉人の仕事は出来ないって痛感した。改めて尊敬したよ」
「これからはちゃんと協力する。話もちゃんとする」
「私も。嘉人を支える為にもっと頑張るよ」
その時、冬の夜空に大きな光の花が咲いた。
「もう1度誓うよ。どんな時も奏音を愛す。死ぬまで尽くす」
「私も……誓います」
私達は光に彩られた空を仰ぎ見た。
その瞬間、再び眩い光が辺りを包み込んだ。
だが、周りの人達には見えていないようだった。
――佐伯嘉人、佐伯奏音。その誓い、今度こそ守るのだぞ。
一際明るい光の中に仏顔の神様が浮かんでいた。
「誓います!」
「誓います!」
――よろしい。これからは更に愛を深めるのだぞ。サラバだ!
そして、私達の奇妙な体験は終わった。
最初のコメントを投稿しよう!