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「朝ご飯出来たよー! 起きてー」
今日もいつもの1日が始まる。
「おはよ」
「おはよう」
嘉人は寝癖のついた頭のまま私のお腹をそっと撫で、屈んで言葉をかけた。
「おはよ」
私のお腹には赤ちゃんが宿っている。
「じゃあ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい、気をつけてね!」
玄関にはあの日の遊園地のチケットと共に飾られたクリスタルの十字架。
11月22日は私達の結婚記念日だ。
これは後日、結婚記念日のプレゼントとして嘉人から送られたものだった。
嘉人は以前から三好さんに相談していたらしい。
「さて、家事やりますか!」
私は綺麗に畳まれたパジャマを見て微笑む。
私達は夫婦。
けれど、他人。
そして、家族なのだ。
テレビ台の上に飾られた写真立てが僅かに揺れた。
【了】
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