5人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
うちに来る人なんて、宅配便の人くらいなもん。でも送られてくる物なんかない。
狭いアパート。1DKとは名ばかりのただの通路?ってくらいのDがある。 木造の2階建て。角部屋
「はい」
玄関に向かって声をかけてみた。
「こんにちはー。大家ですけどー」
「あ、はい。ちょっとまってください」
大家。
名前が大家であり、本当にここの家主さんでもある人だ。
急いで玄関を開ける為に部屋と玄関をわけている暖簾をくぐって玄関をあけた。
暖簾から玄関までなんて数歩。
ガチャッとあけたドアの前には、小さなおばさんの大家さん。
「こんにちは。なにか?」
「あのね、ちょっと言いにくいんだけど…」
「え?なんでしょう」
大家さんが尋ねてきたのって、引っ越ししてきた時と、この辺に危ない人がでたってお知らせの時だけだもの。
「ここ、壊すことにしたの。だから申し訳ないんだけど今月中に新しいお部屋探して。」
「は?え?今月中ですか?そんな急に…私ここ好きなんです」
無理に決まってる。
「そうは言ってもねぇ、取り壊しも決定してるし。他のみんなは納得してくれたわよ。」
「え・・・」
8部屋あるうちの7部屋全部ってこと?
なんでみんなそんな簡単に出て行けるの?
「来月すぐ取り壊されちゃうのよ。よろしくね」
最初のコメントを投稿しよう!