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「佐倉さんだ」ポップアップメッセージには、今週末の誘いがあった。
先日有紗からまったく同じ誘いがあったが、もともと華美も誘う予定だったのかもしれない。断ってしまったことを申し訳なく思っていただけに、坂巻は少しほっとした。
今週末は両日アジャイルという手法のシステム開発セミナーに申し込みをしている。神長や優月の求める仕事のやり方にいちばん近いものだ。
もちろん二人はいくらでも教えてくれるのだが、それを百パーセント飲み込むためには自分でベースを用意しておかなくてはならない。この予定はどうしても外せなかった。
坂巻は、有紗の時と同様に断りのメッセージを送った。それからふと思い立って華美に神長を誘いたい旨を伝える。返事は文脈からしてオーケーだ。
「神長くん今度さ、青山の紅茶専門店一緒に行かない? 佐倉さんと綿貫さんもいるけど」
「はあ。あちらが構わないのであれば」
「それは大丈夫。実は二人から誘われたんだけど、女の子が多そうな店だからさ。店の中で男の客僕一人だったら嫌だなと」
「なるほど、道連れというわけですか。いいですよ」
「じゃあ、はい」坂巻は快く返事をした神長にスマートフォンを渡した。
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