Adagio

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 『同感。次の機会にお邪魔します。神長』坂巻から見える位置で文字を打ち、神長はそのままメッセージを送信する。 「いきなり神長くんから返事がきて、びっくりしてるかもね。綿貫さんとは、冷蔵庫修理のときに話しただけ?」 「いえ、このあいだも少し。色々あってInnocenceを教えました」 「へえ」  坂巻の手にスマートフォンを戻しかけたとき、また着信が入った。 『hanamina:ぜひぜひ! みんなでたくさん食べましょうb^^d!綿貫』  表示されたメッセージを見て、神長は僅かに口元を緩ませた。手早く『はい』と返信し、今度こそ坂巻にスマートフォンを戻す。 「そういえば、Innocenceの反応に神長くんの思考ってどのくらい入ってる?」 「俺自身の考えはあまり。もちろんゲームの設計はしているので、何をキーとして相手を理解するのか、という部分には関わっていますけど」 「ちょっと気になったんだ。Innocenceが育つと、どうなるのかなって」 「会話をするほどに、その人の求めるものになっていくはずですが」 「……じゃあ、やっぱり僕が育てたら神長くんみたいになるってことか。ちょっと僕もやってみようかな」
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