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寄り道にぴったりな駅近の甘味処は、仕事帰りと思しきスーツ姿の女性客で賑わっている。角席には、有紗と華美の姿があった。先日の宿題の話をしながら、看板メニューのあんみつをちょうど食べ終えたところだった。
「人事部、ちゃんと勉強会してるんだね。宇美さん、さすがだなあ」華美は空いた器を通路沿いに寄せた。有紗もそれに倣う。
「総務部はないんですか?」
「金曜日の飲み会が問題提起だったり、話し合いの場にはなってるけど。どちらかというと、刺激を受ける場というよりは、コミュニケーション重視ってかんじなんだよね」
「それはそれでうらやましい気もします。うちの部はあんまり飲み会ないから。宇美さんも『飲みに行こう』って言うよりは『早く帰りなさい』ってタイプなので」
「やっぱり上のカラーが出るね」
「みたいですね」
華美は「あ、そうだ」と、鞄からスマートフォンを取り出した。
「綿貫さん、今週末空いてない?」
「あ、はい。大丈夫ですけど」
「実はね、ちょっと行ってみたいところがあるんだよね」
華美はスマートフォンをテーブルに乗せて、くるりと有紗に向ける。サイトのトップページには、よく見覚えがあった。先日坂巻を誘った、青山にある紅茶専門店である。
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