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一の壱 学園都市パラガーデン
月曜日──。
季節は梅雨だが日中は見事に晴れた。
授業終了の放送が鳴っても、二時限連続科目を受けている彼らに休み時間はない。
珍しく雲のなくなった青空に見入る暇もなく、学園都市パラガーデンの芝生グラウンドでは体育の授業が続いていた。
ガラス張りで、鮮やかな青と白の柱が特徴的な、美術館風の校舎からは、哀れみや憧れなど、各々の気持ちを込めた視線がグラウンドへ送られる。
「いつ見てもイケメンだよな、竜基ってさ……」
ため息をつく浅間は四階の教室の窓からグラウンドへ視線を送る一人である。
その横、窓際の席に座している優等生な見た目の男、王司は「そう思うなら、さっさとあっちに混ざって来いよ」と、教室のベランダから黄色い声援を送る女子たちに目を向けた。
学園を囲むようにしてビルが数棟、一戸建ての豪華な寮がいくつも建ち並ぶこの都市は、学園都市『パラガーデン』と呼ばれている。若い魔法使いたちが生徒として集まる活気のある町だ。
生徒は入学後に能力検査を受け、魔法を扱うための力である超能力の大きさに応じて六段階のクラスに分けられる。
浅間と王司は『特殊超能力ランク』のS、体育の授業を受けているのは『最低ランク』のEであり、梓竜基が所属している。
彼は持ち前の容姿と高い運動能力で周りを魅了し、上級ランクからも人気がある。
もちろん男子からは厳しい態度をとられていたが、女子を敵に回したくためか、最近はだいぶおさまっている。
「Eランク……俺はああいうタイプ嫌いかな。ちやほやしてる方だって、『Eランクにしては』って思ってるだけなのに、図に乗っちゃってさ」
浅間は振り返り、王司の机に突っ伏し長い溜息をつく。
「別にいいじゃない。梓がSにいるとこ想像してみろ、何倍もましだろ」
小さな本を片手で開く王司は浅間に視線を一瞬たりとも向けてくれない。
「確かにそうなんだけど、こう……なんだろうなあ」
授業開始の放送が鳴り数学講師が教室に入ってきたので、浅間は一番前の席に走った。
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