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色とりどりに咲き誇る花…
ここ、ファンタジア王国は近隣諸国と比べても民の暮らしは贅沢とは言わずともそれなりに豊かなほうだ。
特に、城下町である王都フィルは城下町ということもあり、商人を含め人の行き交いが多く賑やかだ。今日もその賑やかな街中を歩いていくと、中央広場に湧く泉の側できゃっきゃと楽しそうに子供達が遊んでいる――‥
それを微笑ましげに見ていると、
途端、子供達がピタリと喋らなくなった。
ハッとして周りを見渡すと、ひそひそ…と街の人がこちらを見ている。
『見なさいよ。アイツ、アクラス家の…』
『しっ!聞こえるわよ。あの家の悪口言ったらどんな目に合うか…』
ヒソッ
『構いやしないわよ。
怖いのはアクラス家であって、” アクラス・ルイ ”ではないもの!』
そんな会話と、剥きだしの侮蔑と敵意を浴び… 悲しみと複雑な感情が混ざり合う
――‥ そう、
前世でトラックに轢かれた私はこのBLゲームの世界で『アクラス・ルイ』という人間として転生し、生を受けました。
アクラス・ルイは言わずもがな後々の展開において要注意人物。否、要注意人物というほど力は無く、あくまでゲームの中ではモブ中のモブ… 私が要注意人物と言いたくなる理由はそう、ただ一つ。
それは、
今後の身の振り方次第で自分が死ぬかもしれないということ――‥ 。
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