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お会計
クロエは布擦れの音だけをさせながら静かに立ち上がった。
「貴女の、占いと夢の代償をいただきますわ」
左手を腕ごと伸ばすと、手の上に紫色の光を帯びながら、棒が現れた、次いでそれに刃が───
身の丈以上もある大きな鎌。
魔女クロエはそれを、くるみの首に振り下ろした。
鮮血が燕尾服の男に飛び散る。
クロエにも血液の雨は降ったが、黒ずくめのおかげで汚れは目立たない。
「安心なさって、死んだりしませんわ。ここでの肉体は夢の中のそれと同じ…」
この香は、何という香りなんだろう──
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