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「おやおや、死んでしまったようですね…」
アンドロ・マリウスは大げさに両手を上げて見せる。
「だから塔のカードはやめなさいと言ったのに。破壊、罠、嘘、トラブル、えとせとらえとせとら、救いようのないカードなんだから」
タワーのカードを絵柄を伏せて置き、ワールドのカードをクロエは細いニ本の指で挟む。
「世界──成功、完璧、 最高の幸せ…。助言はしたわよねえ、マリウス」
アンドロ・マリウスは、黒い瓶からグラスにワインのような血を注いでいる。
「夢の代償は、幸せのお裾分け程度で構わないのに。くるみちゃん、『とりあえず生きている』くらいしか幸せが残っていなかったのね」
ワイングラスに注がれたくるみの血の紅を、アンドロ・マリウスとグラスを合わせて飲み干す。
「あら、でも占いの対価としては、なかなか美味しいわね、くるみちゃん。芳醇な喉ごし…」」
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