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大きな木製の扉を、ユリの紋章を型どったドアノッカーで叩く。
「ようこそ」
扉が開いて現れたのは、占い師らしい老婆でもなく、妖しい女性でもなく、恐ろしく美しい、長身、金の長髪の男性だった。
燕尾服を着て、手にはランプを携えている。
「お待ちしておりました」
え?
「貴女がいらっしゃることは、存じていましたので」
「はあ──」
先程の蝶のこともあり、くるみは特には驚きはしなかった。
「では、占い師の部屋へご案内致しましょう」
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