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「ローズヒップティーちょうだい」
「かしこまりました」
燕尾服の男はそれだけ言って部屋を出て行った。
くるみは不安になる。
「あのう…」
「ああ、存じていますわ、もちろんお客様ですもの、占いはきちんと行いますから、心配なさらないで」
程なくローズヒップティーをトレーに乗せて、燕尾服の男がそれをテーブルの端に置いた。
────「彼とは同じ大学で、サークルは一緒なんだけど、勇気がなくて話しかけられなくて…」
くるみの話をクロエが遮断する。
「そういうのは、必要ありませんの。いらな~い、ですの」
くるみが弱い肩すかしを喰らったような思いでいると、クロエはベルベッチンの布を広げたテーブルの上に、天使の羽の模様が飾られたタロットカードをシャッフルし始めた。
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