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「わかりましたわ、ではタワーの彼でよろしいんですのね?ワールドの彼には戻せなくてよ?」
あの人の他に、天秤にかけられるような相手なんていない!いいえ、天秤なんて必要ない!
「はい!タワーの彼です!彼以外ありえませんっ」
涙目で訴えたくるみに、燕尾服の男が、またくつくつ笑った。
「あの?お代は?」
クロエはつまらなそうに欠伸をする。
「貴女が『夢が叶った』と思ったときにまたいらして。その時に頂きますわ」
「それっ、て───」
部屋の香の匂いが強くなった。突然強烈な眠気に襲われて、くるみは床に倒れた。
くつくつくつくつ
燕尾服の男の笑い声だけが、いつまでも聞こえていた。
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