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そこはもう俺が何か言える立場ではない。人生の中で唯一自分の好きにできる時間だ。だから、お前の好きにしろと。そう言いたい。
でも本当は違う。本当は誰にもこんな姿を見せて欲しくない。こうして快楽を与えるのは、俺の手だけであってほしい。ああ、これを人は、なんというのだろう。嫉妬だろうか、独占欲だろうか、それとも見苦しい執着だろうか。
ただ少しだけ距離が近づいただけで、たったそれだけでこんなにも浮かれてしまって。教育の一貫で触れただけなのにこんなにも惚れ込んでしまって。
なんて、みっともない。
(最低だ……俺は)
手に残る粘っこい白濁を見つめながら、自分の中に生まれた罪悪感に絶望した。
「……授業は、これで終わりだ」
「え、うん……わかった」
「疲れただろ。今日はもう休め。夕飯はここに持ってくるから」
「ありがと。ねえ、ヴィンス」
「ん?」
へにゃりと笑ったディヴィッドは、今までよりも少しだけ大人っぽい、色のある表情をしていた。
「気持ちよかった、すごく」
「……っ、そう、かよ」
それから急いで服を着せて、俺は急いで部屋を後にした。しっかりと反応している熱に気づかれたくなかったからだ。誰にも会わないことを願いながら便所に行き、それから立て続けに二回抜いた。
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