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大陸東部を統一した大帝国、ハイ・オレイユ。
領土の中央南部、内海の沿岸に帝都「オレイユ」を構えるこの国は、異民族討伐によって領土を広げた軍事国家である。その性質上、帝国内は西にも東にも不穏分子を抱えている。
東の教会、西の蛮族。
ハイ・オレイユは二つの山脈によって、東部、中央、西部に区切られていた。
緩やかではあるが裾野に樹海を広げる東の「キトン山脈」以東は、「テトラ半島」。
その東端に確固として築き上げられた、聖地にして大本山、「トートラ」と呼ばれる宗教都市を中心に、東は皇帝と睨み合う教会権力が根を下ろしている。「オレイユ」とは本来「オ・レイユ」と表記すべきであり、その意味は、国教「レイユ教」の賛美に他ならない。
当然、この東の宗教はハイ・オレイユ中に信者を抱える。だからこそ帝都も下手に動けない。教会、という性質上、軍備を揃えられているわけではないが、信仰を基にした民衆の団結は十分過ぎる脅威になる。
しかしながら、少なくとも現状では帝都と教会の間に火種はない。
問題は、西。
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