酒場

6/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
 奥のテーブルで、女をめぐって争いが起こっていた。  どちらの男も、この辺では珍しい生身の女を、酒場の二階にある部屋に連れ込もうと必死なのだ。  一歩も引かない男達はやがてナイフを持ち出し、死体と共にテーブルは静かになった。    隣のテーブルでは男達が、何事もなかったかのように偽造酒を飲んでいる。  カードをする客、すぐさま別のテーブルに移る女。  テーブルの下では女が、太もものナイフホルダーにそれを戻していた。  死体に騒ぐ客などまったくいない。  床に転がった男に群がり、食い物と交換できるものはないかと物色する少年達。  腕時計、財布。上着を脱がそうとしている男までいる。     これが毎日続く日常。 「首がつながってる三人のオヤジとか、ここでの取引とか、ちょっとルピナス、あんたいったいどうゆう風の吹き回し!?」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!