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運が悪ければ命を落とす。
ここでは誤った判断が死に直結する。
大戦前まで市民を守っていた警察も、今はもうない。
自分の命は自分で守らなければ、誰も助けてはくれないのだ。
なのに不思議な賭けに出たものだと、クローバーは思う。
線路の上、ヤケクソ気味に悪態をつきながら、ルピナスの後を追った、あの日。
誰を信じるかで与えられる結末は大きく違ってくるから、相手が女子供だからといって安心は出来ない。
しかし何故かクローバーは子供を信じた。
ニッと笑った顔が、軍人になった弟に似ていたからかもしれない。
「ま、まだ走るのか?」
「へっ!息上がってるぜ、オッサン!」
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