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【月兎】
寂しいと死んでしまうの
『ワタシは兎…』
彼女はそう言った。
限りない闇を受け入れる
深く呼吸し 瞳を閉じる
静か過ぎる空気に ゆっくりと
両の手を差し出し
ワタシは月ニナル…
視界は無
限り無い黒
身体が揺れる
頭の先
足の先
ワタシの前
ワタシの後
クルリ クルリ
何も見えない視界を
確認する様に
フリカエリ フリカエリ…
絶望にサイナマレタ闇
フト背中に温かさを感じて
…キミが居た
羽根を大きく広げ
眩しい光を放つ
神々しき金烏
ワタシの闇に光を与えたのは
キミ
頭の先
足の先から
灯す光よ
ドクッと心が鳴る
トクトクと規則的な音
瞼に映るオレンジのドーム
命の息吹き
今と生み出された
新たなる光…
身体中に
キミが広がり駆け巡り
温かさに包まれて
目覚める力
ただキミの分身となれる
幸せ
キミに満たされて
ワタシは月ニナル…
視界は光
限り無い眩
身体が揺れる
頭の先
足の先
ワタシの前
ワタシの後
クルリ クルリ
眩し過ぎる視界を
確認する様に
フリカエリ フリカエリ…
既望という名の月
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