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そしてその考え通り、要人は優希を特別に想っていた。
これまで付き合ってきた女の子たちとは、明らかに違うこと。それは、自分の方から付き合ってほしい、と願い出たことだった。
これまでは、請われて何となくそのまま付き合ってきた。自分を好きだと言ってくれる人がいる。悪い子ではなさそうだし、まぁいいか。そんな風に考えては付き合い、別れを繰り返してきた。
だが、今度は違う。自分が心から愛した相手と、請い願うままに付き合っているのだ。これは要人も張り切らずにはいられなかった。
「な、いいだろ?」
「そうだな。じゃあ、お邪魔するかな」
そんな風に特別扱いされることは悪い気分ではなかったので、優希は静かに承諾した。返事を聞いた要人は、やった! とこぶしを握って心底嬉しそうだ。
これは忙しくなってきた!
要人はその日寮ではなく実家へ帰り、そこに抱える人間たちに散々ふれて回った。
「明日、優希が泊まりにくるんだ。念入りに掃除を頼む! 花も飾ろう。花屋に連絡してくれ。ディナーは奮発してくれよ? 一口だけ、ワインを飲もう。ビンテージものを頼む!」
こんな風にはしゃぎまわる要人を見るのは初めてなので、使用人はみな眼を丸くした。
ただ、いらっしゃるのが要人坊ちゃんのお友達と聞いて気を引き締めた。これは絶対に失礼のないようにしなくては。
そんなこんなで前日から料理の仕込みが始められたり、客間には真新しいリネンが準備されたりした。
それらをひとつひとつチェックしながら、要人はにこにことご機嫌だった。
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