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受け取りながらも往生際悪く、要人にぼやいてみせる。
「なぁ、やっぱりこういうこと、しなきゃいけないのかな?」
「だって、好きだったら付き合うし、付き合ったらセックスするだろ、普通」
「そうか……」
優希はもう諦めて、二人で正しいやり方を検索し勉強することにした。
でたらめなアカウントで、アダルトサイトへログイン。どうせすぐに捨てるが、履歴の残る要人のタブレットには少し申し訳ない。
『男同士動画』と入力すると、ずらりとウェブが紹介されてきた。単純に、一番上にある無料動画サイトを開く。そこにはいろいろなシチュエーションでの絡みが静止画とキャプションで紹介してあり、優希はこれまた何も考えずに一番上にある静止画をクリックした。
ずい、と覗き込んでくる要人。興味津々といった顔つきからすると、事前に男同士でどうやるかを勉強している風ではない。
動き出したモニターを、優希と要人は頭を寄せ合って見始めた。
なぜか爽やかでポップなインストゥルメンタルが流れ、二人の若者が海辺で手をつないで歩いている。さざ波の砂浜を歩き、時に顔を見合わせて笑いあっている。超、というわけではないが、まぁ10人並みのイケメン。一人は短髪で焼けた肌に髭を生やしていて、もう一人は色白でまだ少年の面影を残している。
「この髭男、要人に似てないか?」
「よしてくれ。髭が同じなだけだ」
くすくす笑いながら動画を続けて観ていると、急に画面が変わり芝生にタオルを敷いて、二人が濃厚なキスを交わしている。濡れた音が響き、息遣いまで鮮明に録音してある。ようやく本編が始まったのだ。
キスをする間もカメラアングルは細かく替わり、様々な角度から様子がうかがえるようにしてあった。
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