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 気づくと、苦悶の表情だった色白男の眉間から力が抜けており、どこかうっとりとした顔つきに変わっている。 「……気持ち、いいのかな」 「……いいんじゃないか?」  ごくり、と生唾を飲む二人を前に、モニターの中の髭男はせっせと体位を変えて様々なセックスのやり方をアピールしてくる。  色白男が上になる、いわゆる騎乗位では、接合部がバックからこれ以上ないくらいのアップで映され、見る方が痛々しくなってきた。だが、こういうことを、今から二人でやっていくのだ。  もう一度正常位になった髭男は、一度陰茎を大きく退いてそこに再び透明の液体を流した。すぐにまた奥へと貫くと今まで以上に粘っこい音がして、優希も要人も耳まで熱くなってきた。  色白男の漏らす喘ぎも速く激しくなっており、これはいよいよフィニッシュに近いのか。  髭男は相変わらず細かく腰を震わせたり、ゆっくりぐっちゃぐちゃに突いたりとまるで攻め方のお手本のように動いている。  そのうち画面の中から、やばいやばいと声がしてきた。髭男の声らしい。  は、と優希と要人がさらに食い入って見ると、髭男は素早くペニスを色白男のアナルから引き抜いた。白い精液が数回、勢いよく飛ぶ。 「終わった……」 「いや、まだだ」  見ると、髭男はすでに体内にいないのに、色白男は自分の性器を扱き続けている。髭男は色白男の肌をさすったり、キスをしたりとずいぶん優しい雰囲気だ。  やがて色白男も絶頂に達し、その先端からやはり白い体液が流れ出た。そうやって、互いに事を終えた二人は、もつれるように横になりひたすらキスをした。  画面が切り替わり、冒頭に流れていた爽やかな音楽が流れる。スイムパンツをちゃんと穿いた二人の男は、互いにペットボトルの水をかけ合い体を流して清めあう。髭男は大きなタオルで、色白男の体を優しく拭いてやる気配りまで見せている。  さらに画面は変わり、すっかり服を着てしまった二人が再び手をつないで砂浜を歩いたり、防波堤の上に腰かけて微笑みあったりと甘い雰囲気を漂わせている。次第に画面はブラックアウトしていき、流れる音楽も止まった。  固唾を飲んで一部始終を見ていた優希と要人は、同時に深いため息をついた。 「勉強になったな……」 「なり過ぎた……」  しばらく放心状態で、動作を止めたタブレットをぼんやり二人して眺めていた。
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