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時は夕刻。
空には煌めく星がチラホラと見えてきたが、それ以上に目を引くのは視界を占める程の大きな双星。月の様なクレーターが肉眼でハッキリと見え、際立つのはそれぞれの地表の色。
それは闇の様に深い黒と美しく輝く白。
その双星の光に照らされる大地の上は険しく聳え立つ山々。光を遮る程の深い森林。底が見える程に澄み切った巨大湖。
そして、どこまでも続くかの様に広く青い草原の上に彼はいた。
「へぇ…それっぽっちで俺とやんのか?」
それっぽっち。彼はそう言うが、彼の眼前に存在するのは…。
「あぁん!?ナメテンのか!?」
「殺っちまうぞコラァ!?」
「ウオォォォォーーー!!」
草原を覆い尽くす程の夥しい人、人、人。そいつらはその一帯で有名な大型盗賊団【喪武燃舞】であり、その構成人数は千人超。
彼は今からそいつらと戦うのだ。
圧倒的人数差。だが、彼は不敵な笑みを浮かべていた。
「先ずは一つ…さて、何人…正気でいられるかな?」
彼の手が黒く染まる…。
「“黒の世界”」
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