プロローグは短めに

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別に頭が良いわけでも口が達者なわけでもない。たいてい同じ時間を共有すればそいつが次に何を言おうとするのか分かっちまう。 たまに予想外な言葉を聞けるとついついその言葉に魅力を感じてしまい、後先考えずに行動してしまうのが俺の悪い癖。 この女とも友人に『恋人がいれば少しは人生楽しくなるよ。』ってありえない助言を受けたからこそ付き合ってみたものだ。 その結果俺はババしかないババ抜きを三ヶ月もやる羽目になった。 …ちょっと意味が分からない。 「あんたもしかして他に女ができたとか言うんじゃないでしょうね?」 「ないない100パーありえないっつーの。単純に…」 やっと終わる。 いくら何を言われるか分かっていても工程を短くすることは俺にはできない。決められた場所に言葉を無造作に置き、パズルが完成するまで繰り返す。 そして最後のピースをはめる。 「いつまでもつまんねぇ奴と一緒にいたくないだけだっつーの。」 「…」 最後の言葉を想像し、それを言われるのを待つ。 なによ…私は真剣だったのに…馬鹿! これだな。さっさと言ってくんねーー パチィィィイイイイイイイイン! 左頬にデンキナマズが噛みついたような衝撃が伝わった。
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