プロローグは短めに

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「あっははははははははは!」 気品も欠片もないゲラ笑いが周囲にこだまする。 あの女から予想外もしない攻撃を受けた後、俺はとりあえずやつが置いてった鍵を管理人に渡し、『大丈夫か、君?なんかものすごくほっぺたはれてるけど。』と蚊が泣くような声をかきはらってアパートを出た。 その後 その後 記憶がない。 気が付いたらいつもの時間に目が覚め、いつもの電車に乗り、いつもの大学の講義へ俺は体を運ばせていた。 ただいつもの違うのは横尾の俺に対するリアクションだ。 真っ先に頬に貼られたでかい絆創膏に反応し、授業中にも関わらず何だこれ質問攻めを頭から浴びた。 本当は無視したかったのだが、今日は資格に関わる授業のため、休むこと(自主休講って言い方もあるが、ただのずる休み)もできずに一日横尾が横にいる状況なので、早々とだんまりを諦めた俺は授業終わりにでも教えるとその場を流した。 そしてそれがこの結果だ。 こいつは外のベンチで人がわりと行き来するにも関わらず大声で人の痛みを全力で嘲笑している。
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