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落胆している僕の横で志織が呟く。
「そんなに落ち込まないでよ。こっちまで落ち込んじゃうじゃん」
「だって、考えても見ろよ。あっちは卑怯な事やって、受賞してるんだぞ。こっちは必死こいて真面目にやったのに」
「じゃあ、それでいいじゃん」
「何がだよ」
「だって、真面目にやったんでしょ?それで卑怯な事やった人に負けたんでしょ?じゃあ落ち込む必要ないじゃん。
卑怯なことやって叶った夢より、真面目なことやって叶わなかった夢の方が意味があると思うなあ。
上手く言えないけど、夢の叶え方って言えばいいのかなあ。卑怯な事やって叶った夢なんて、本人自身が1番喜べないと思うよ」
そういうもんか。心の中で呟いた。
少し間を置いて志織が言葉を続ける。
「少なくとも、そういうふうに生きているキミのこと、大好きだと思ってるし、その隣に私がいれることも誇りに思うよ」
嬉しい。でも素直に喜ぶのも恥ずかしいのでなんともないふりをした。
志織がフフッと笑った。
「そういうところもね」
──了──
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