16人が本棚に入れています
本棚に追加
ここまでしても溜息をついて、オリーブは気怠げに起き上がってタオルを渡してくる。体を拭って、トイレまで行って戻ってくれば、もういないだろうと思っていた人がまだ部屋の中にいた。
「いたの?」
てっきり愛想を尽かしてもういないと思っていた。既に酔いも覚めているし、信頼なんてなくしたのだと。
けれどオリーブは溜息をついて、とても弱く頭をコツンと叩いた。
「いきなり襲うな。驚いた」
「え、そこ?」
「あと、寝込みを襲うのは反則だろう」
「…俺、その前にちゃんと部屋で寝ろって言ったよ」
「…それは俺も悪かったと思う」
なんか、変な感じだ。でも、ジワッと温かい。怒ってくれている。でも、見捨てられるんじゃない。それが嬉しかった。
「ランバート、俺に言うことは?」
「…ごめん」
「んっ、それならいい」
今度は甘やかす様に頭を撫でるんだ。何だよ、この天然。嬉しいやら切ないやらでグチャグチャになる。
頼りなく見れば、オリーブはそれに気づいたみたいに首を傾げて、尚も頭を撫でてくれた。
「何かあったのか?」
「どうして?」
「理由もなく、突然襲うなんて普段のお前ならしないだろ。何か、辛い事でもあったのか?」
変な所で鋭いよな、オリーブって…。
「…最近、ちゃんと寝れなくてさ」
「寝れない?」
最初のコメントを投稿しよう!