いけないと分かっていても

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 ここまでしても溜息をついて、オリーブは気怠げに起き上がってタオルを渡してくる。体を拭って、トイレまで行って戻ってくれば、もういないだろうと思っていた人がまだ部屋の中にいた。 「いたの?」  てっきり愛想を尽かしてもういないと思っていた。既に酔いも覚めているし、信頼なんてなくしたのだと。  けれどオリーブは溜息をついて、とても弱く頭をコツンと叩いた。 「いきなり襲うな。驚いた」 「え、そこ?」 「あと、寝込みを襲うのは反則だろう」 「…俺、その前にちゃんと部屋で寝ろって言ったよ」 「…それは俺も悪かったと思う」  なんか、変な感じだ。でも、ジワッと温かい。怒ってくれている。でも、見捨てられるんじゃない。それが嬉しかった。 「ランバート、俺に言うことは?」 「…ごめん」 「んっ、それならいい」  今度は甘やかす様に頭を撫でるんだ。何だよ、この天然。嬉しいやら切ないやらでグチャグチャになる。  頼りなく見れば、オリーブはそれに気づいたみたいに首を傾げて、尚も頭を撫でてくれた。 「何かあったのか?」 「どうして?」 「理由もなく、突然襲うなんて普段のお前ならしないだろ。何か、辛い事でもあったのか?」  変な所で鋭いよな、オリーブって…。 「…最近、ちゃんと寝れなくてさ」 「寝れない?」     
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