0人が本棚に入れています
本棚に追加
「もうっ!魔法使いだなんて何考えてんのよ...なれるわけない
じゃない」
夢花の母・玲子は、娘のお弁当箱をゴシゴシと擦りながら溜息
をついた。
「まぁまぁいいじゃねぇか。な、夢花は魔法使いになりたいん
だよなぁ!!」
ガハハハッと豪快な笑いを漏らすのは、夢花の父・翔吾だ。
「んー?なにがおかしいのー」
両親に自身の夢をバカにされていることを感じとった夢花は、
ぷうっと片頬を膨らませる。
(ママもパパも、ゆめかのことぜんっぜんしんじてくれてない!)
ホントになれるんだもん。魔法使い。
バカにしないでよ!
「ママもパパもきらい!ゆめかのこと、しんじてくれないんだっ」
夢花は瞳に涙を溜めて両親をキッ、と睨みつけ、部屋を飛び出し
た。
「ちょっと!夢花待ちなさ……」
バタン!と扉が勢いよく閉まる。
玲子は肩をすくめた。
「ホント、あの子は……」
最初のコメントを投稿しよう!