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「はぁっ、はぁ……」
家を飛び出した夢花は、二件隣の幼馴染・遥の家のチャイムを鳴
らした。
遥は夢花と同じ幼稚園に通う同い年の男の子で、近所ということ
もあり、2人は姉弟のように仲良く育っていた。
「ゆめかちゃん?どーしたの、なにかあったの?」
開いた扉から顔を覗かせた遥は、ぜーはーと肩で息をする夢花を
見て目を丸くした。
「は、はるくんぅ?ふぇぇ」
遥の顔を見て緊張の糸が切れた夢花は、ボロボロと涙をこぼす。
「ゆめかちゃん、かなしいこと、あったの?」
「うっ、うぇっ...ぐすっ、あのね、ゆめかのね、ゆめがね」
同じ幼稚園に通う遥は、当然夢花の『魔法使い』発言のことも
知っている。
そしてその夢を周りの皆から、笑われていたことも……。
遥は号泣する夢花の元に駆け寄ると、少し背伸びをして涙を拭
った。
「ゆめかの……ゆめ、ね、……パパとママにもばかにされたの。ねぇ、ゆめか、うそ、ついてないのにっ……」
「うん、そうだよね」
遥は優しく頷いた。
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