3 ミスティ村の宿屋の娘たち

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3 ミスティ村の宿屋の娘たち

 人間の王国からは離れているが、魔王の城までは歩くだけなら1時間。  モンスターを倒しながらだと2時間はかかる。  リアムは見慣れた村の入口の木の門を見て、ホッとした。  ミスティ村は、その昔、魔族と人間の融合を願った聖人ミスティが作った。  その願いに賛同した者と、人間の村で生活できない者が集まっている。  ただ、賛同したといっても、リアムのように混血で、人間だけの村や街で生活しずらい者がほとんどだった。  だから、ミスティ村の住民は、ほぼ混血か混血の家族で成り立っている。  知能が低いモンスターは、食事のために人間を襲ってくるが、村にはモンスターや人間に悪意を持っている魔族は入ってこられない。  流れの速い川が堀のように村を囲んでいることと、聖人ミスティの祈りがこの村を守っていた。  入れるのは、魔法が使えない人間や動物、そして悪意を持っていない混血や上級魔族。  魔法が使える魔族と人間の混血は、聖人ミスティに認められると入ることができる。  聖人ミスティは、はるか昔に亡くなっているが、門や村を守る壁に魔法がかけてあり、門から入れたものは村人として守られる。  泣いていた子供を魔王の城に置いて行くこともできず、リアムはミシェルを背負っていた。  リアムは門をくぐったが、背中のミシェルが拒否されることもなく、いつもと同じようにすんなりと通ることができた。
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