3 ミスティ村の宿屋の娘たち

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「リアム! お帰りなさい」  村に入ると、ミスティ村の宿屋の娘、シェリルが駆け寄ってきた。  リアムがひとりで出かけたのを知り、門の内側で待っていたのだ。 「ただいま」  リアムは金色の髪をポニーテールにしたひとつ年下の幼なじみに言った。  シェリルも魔族と人間の混血だった。  母親の手によって宿屋の前に捨てられ、シェリルを引き取った宿屋一家はその村を追い出され、ミスティ村まで流れてきた。  シェリルが5歳の時に村に住み着き、それから10年ずっとミスティ村で暮らしていた。 「またひとりで魔王の城に行ったんでしょ? もう、あれほどわたしを誘いなさいって言ってるのに」  シェリルはすぐにモンクを言った。  村には子供が少なく、年が近いリアムとシェリルはいつも一緒に遊んでいた。この日もリアムと一緒に行くつもりで、モンスター退治に適した格好をしていた。 「ひとりで行けるし」 「わたしを誘えばお姉ちゃんたちがついてくるから?」 「そういうわけじゃないよ」  けれど、それが大きな理由でもあった。     
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