3 ミスティ村の宿屋の娘たち

3/7
前へ
/25ページ
次へ
 シェリルの姉は、ミランダとブレンダという双子の姉妹だった。シェリルと血のつながりはないが、本当の姉妹以上に仲が良くて、シェリルが来るとなると、人間で魔法が使えないのに魔王の城についてこようとする。  リアムは僧侶タイプの回復魔法のエキスパートだった。剣の腕前もなかなかだったが、攻撃の(かなめ)は攻撃魔法主体の魔法使いタイプのシェリル。  二人の姉たちは人間なので魔法が使えず、それなのに斧を振り回してモンスターを倒す戦士タイプで、リアムは戦う三姉妹をサポートして、回復し続けるだけのストレスがたまる戦いになる。  それならひとりで戦うのも回復もやった方が自身の修行になる。  それに、三姉妹はふつうにやかましい。 「それでもひとりで行くなんて、心配よ」 「大丈夫だよ、今日も帰ってこれたし」  そう言って、リアムは自分の家ではなく、宿屋の方の道を行く。  夕飯は宿屋の食堂を使っていたので、当たり前のようにシェリルもついてくる。 「何を背負っているの? 獲物?」  シェリルはリアムの背中を見て言う。 「獲物って……」  子供を見て、無邪気にそう言ってしまうシェリルに多少不安を覚えた。 「魔王の間にいたんだ。魔王だって」 「え~~~~!!!」  シェリルは大きな声で驚いた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加