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「ダメだ。本物の魔王なら、ちょっとくらいのことで宝石が取れたりしない」
「そお?」
ミランダはじっと宝石を見つめて言う。
「それなら、取ろうとすることで本物の魔王かどうかわかるわ。取れたら人間。取れなかったら魔王」
「ダメ」
「どうして?」
正直そうなミランダは、まっすぐとリアムを見つめる。
「コイツが怪我する」
「怪我をしないように、刃物を使って取り出すのよ」
ニコニコとミランダは言った。
「絶対にダメ」
リアムは『悪い人間』の見本がいたと思った。
「コイツ、額の宝石を狙ってくる人間が怖いって泣いてたんだからな」
「まあ」
ミランダはとたんに悲しそうな顔をした。
「なんてことでしょう。こんなに小さくてかわいい子が、そんなことに怯えていたなんて」
怯えさせる張本人が何、他人事のように言っているんだとリアムは思ったが言わなかった。
三姉妹の長女は最恐だった。
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