3 ミスティ村の宿屋の娘たち

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「ダメだ。本物の魔王なら、ちょっとくらいのことで宝石が取れたりしない」 「そお?」  ミランダはじっと宝石を見つめて言う。 「それなら、取ろうとすることで本物の魔王かどうかわかるわ。取れたら人間。取れなかったら魔王」 「ダメ」 「どうして?」  正直そうなミランダは、まっすぐとリアムを見つめる。 「コイツが怪我する」 「怪我をしないように、刃物を使って取り出すのよ」  ニコニコとミランダは言った。 「絶対にダメ」  リアムは『悪い人間』の見本がいたと思った。 「コイツ、額の宝石を狙ってくる人間が怖いって泣いてたんだからな」 「まあ」  ミランダはとたんに悲しそうな顔をした。 「なんてことでしょう。こんなに小さくてかわいい子が、そんなことに怯えていたなんて」  怯えさせる張本人が何、他人事(ひとごと)のように言っているんだとリアムは思ったが言わなかった。  三姉妹の長女は最恐だった。
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