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「ん……」
眠っていたミシェルが目を覚ました。
目をこすりつつ、身体を伸ばす。
そして、目の前にミランダがいるのを見てびっくりして後ずさる。
「誰?!」
今にも泣きそうな顔で、ブルブル震えて哀れなほどに怯えて叫んだ。
リアムが説明しようとしたが、ミランダが優しく止める。
「私はミランダ。ここの宿屋の三人娘の長女よ」
ミシェルの目線に合わせて座り、聖女のように優しく微笑んだミランダが言った。
「ミラン……、ダ?」
怯えて細い小さな声でミシェルは言う。
「そうよ。あなたのお名前は?」
「ミ……、ミシェル……」
「ミシェル? 素敵な名前ね」
「ホント?」
おずおずと言うミシェルに、ミランダは優しく微笑んでうなずく。
「もちろん。大天使様と同じ名前。私はとっても好きよ」
ミランダの言葉に、ミシェルは目をパチパチさせる。
「おじい様が、つけてくださった名前なんだ……」
「そう。きっと、おじい様も素敵な方だったのね」
祖父を褒められて嬉しかったのか、ミシェルはコクコクとうなずいた。
「おじい様はとってもすっごい魔王だったんだよ」
さきほどからミランダの表情はまったく変わらず優しい笑顔だったが、言っていることの豹変ぶりに、いつものことながら恐ろしいと思うリアムだった。
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