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食後のデザートはりんごのコンポートが出てきた。
それとミルクティ。
それを食べながら、ミシェルから話を聞いた。
「ボクね、ホントは、もっとちゃんと強い魔王だったんだ」
ミシェルは真面目な顔でそう言った。
リアムと三姉妹は、何も言わなかったが(そんなのウソだ)と思った。
「ホントだよ……」
それを感じ取ったのか、ミシェルは言った。
「今は、人間になる薬を飲んだから、魔法とか使えなくなっちゃってるけど……」
「なんでそんな薬を飲んだんだ?」
「テレンスに言われたんだよ」
その名前を聞いて、三姉妹は普通の顔をしていたが、リアムだけが眉をしかめた。
「お父様もおじい様も、ふたりとも人間になる薬を飲んで、人間の世界を視察していたって。だから、そろそろボクも、人間の世界を視察してもいい頃だって」
「それで、親父の口車に乗せられたってことか?」
「口車?」
ミシェルはわからないようで、首を傾げる。
「親父に騙されて、薬を飲まされたってころだろ?」
「騙されたわけじゃないよ。薬を飲んだらテレンス、どこかに行っちゃったけど……」
「でもお前、あそこにいたら、俺意外のヤツが来たら、やばかっただろ?」
ミシェルは唇を噛みしめる。
「そんなことないもん……」
悔しそうに呟くように言う。
「呪文となえただけで倒れたじゃないか」
「あれは……、調子がわからなかっただけで……」
「ミシェルちゃんは、どうしたいの?」
ミランダが優しく訊ねる。
「元に戻りたい……」
泣きそうな顔でそう言った。
「泣かないでいいのよ」
ミランダはそう言って、ミシェルを膝にのせて抱きしめた。
「ふぇ……」
ポロポロと涙をこぼした。
「大丈夫よ、リアムがなんとかしてくれるわ」
「え……?」
いきなり振られてリアムは思わず立ち上がる。
「あなたのお父様がしたことでしょ? 息子のあなたがなんとかしてあげなさい」
宝石を取ると言っていたのが嘘のように、毅然とした態度で無理難題を言っていた。
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