5 バトルフィールド

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「もう一個ちょうだい」  ドーナッツを食べて機嫌が直っていたミシェルが喜々として言う。それをリアムはムッとして見た。  ミシェルにあげるためにブレンダがバスケットから出したドーナッツを、リアムは横から取って口の中に放り込む。 「あ……」  自分の物だと信じて疑っていなかったドーナッツが、リアムの口に消えていく。ミシェルは呆然とした顔でそれを見つめ、みるみる泣き顔になっていく。 「まだあるから大丈夫よ」  慌てたようにブレンダはミシェルの目の前にドーナッツを出す。  泣きそうになっていたミシェルはパッと笑顔になった。  そのドーナッツすらリアムは横取りして、まだ前のドーナッツが入っている状態で口の中に入れる。 「リアム!」  シェリルがリアムの背中を思い切り叩いた。 「ゲホッ! ゲホゲホゲホ」  リアムがむせたのを見て、シェリルは慌てて持っていた水筒をリアムに渡した。水を飲み、苦しそうにしながらもリアムはドーナッツを食べる。  まるで、命がけで食事をしているような顔になった。 「落ち着いて食べないと、ああなるからね」 「うん」  ブレンダの言葉にミシェルは素直にうなずいた。
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