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「もう一個ちょうだい」
ドーナッツを食べて機嫌が直っていたミシェルが喜々として言う。それをリアムはムッとして見た。
ミシェルにあげるためにブレンダがバスケットから出したドーナッツを、リアムは横から取って口の中に放り込む。
「あ……」
自分の物だと信じて疑っていなかったドーナッツが、リアムの口に消えていく。ミシェルは呆然とした顔でそれを見つめ、みるみる泣き顔になっていく。
「まだあるから大丈夫よ」
慌てたようにブレンダはミシェルの目の前にドーナッツを出す。
泣きそうになっていたミシェルはパッと笑顔になった。
そのドーナッツすらリアムは横取りして、まだ前のドーナッツが入っている状態で口の中に入れる。
「リアム!」
シェリルがリアムの背中を思い切り叩いた。
「ゲホッ! ゲホゲホゲホ」
リアムがむせたのを見て、シェリルは慌てて持っていた水筒をリアムに渡した。水を飲み、苦しそうにしながらもリアムはドーナッツを食べる。
まるで、命がけで食事をしているような顔になった。
「落ち着いて食べないと、ああなるからね」
「うん」
ブレンダの言葉にミシェルは素直にうなずいた。
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