2 魔王?

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 村人割引で安くしてもらった、村で手に入る最強の剣を構える。  人間が作った物なので、不思議な力が宿っているわけではない。  それでも何でも切れるという触れ込みの剣で、人間が作ることができる最高の剣だった。  村に来るまでにしこたま稼いでいる冒険者の身ぐるみをはがすような金額で売っているが、リアムは村人だったので、ほぼ原価で買った。  手入れは鍛冶屋のオヤジのところに行って自分でやることと、良い材料が手に入ったらそのオヤジに渡すことが条件だった。『原価ポッキリ』に騙された感がややあるが、その剣を構え、リアムはゆっくりと玉座に近寄る。 「鍛冶屋のオヤジにぼったくられてるわよ」 と、幼なじみに言われたが、魔王の城の最上階に来ても、刃こぼれ一つしていない剣を見て、 ((なり)はともかく鍛冶屋のオヤジの腕は確かだ)と改めて思った。  隠れる場所がない広間を、リアムはゆっくりと慎重に進む。  子供はとにかく泣き叫んでいて、リアムのことなど気付いていないようだ。
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