2 魔王?

4/8
前へ
/25ページ
次へ
(なんで子供が?)  入り口の門番を倒し、スライムを倒して、魚を倒して、カエルを倒して、オークを倒してドラゴンを倒して、さんざん苦労をしてここまでたどり着いたのに、極悪な魔王が玉座にいるかと思いきや、いたのは小さな人間の子供一人だった。 「おい……」  リアムが近寄って声をかけると、子供はビクっと泣きやんだ。  怯えた顔で、恐る恐るリアムを見上げる。 「誰?」  恐怖が顔一面に現れている。 「怯えるな。俺はこれでも人間だ」  リアムは上級魔族に間違えられることが多かったので、言いなれている言葉だった。 「に……、人間?」  けれど、その子供は恐怖をさらに強めた。  とって喰われるのではないかと怯えている顔だ。  モンスターに遭遇してしまった人間がする表情だった。 「そうだ」  リアムは苦虫をかみつぶしたような顔で言った。 「ホントに?」 「……ああ」 「う……」  みるみる子供の目に涙があふれてくる。 「え?」  リアムは魔族と勘違いされて泣かれたことはあるが、人間だと言って泣かれたことはない。 「うわ~~ん、うわ~~ん! うわ~~~~~ん!」  近くで聞くと、さらにうるさい。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加