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1 ようやくたどり着いた魔王の間
人間が好まない、茶色い壁に紫の縁取り。
そんな色合いを魔族は好む。
城の入り口近辺には、おどろおどろしいガーゴイルを象ったオブジェが大量にあったが、魔王の間の近辺に、そういった物はなかった。
けれど、神経を逆なでするような色合いを見て、リアムは不快感を覚えた。
一番下の階にはネバネバしたモンスター、次は魚類系、次は両生類系、そして竜。リアムはそれらのモンスターを倒してここまできた。
まるで進化の過程を見ているようだった。
ただ、人間の世界の生き物とは、明らかに異なる生命体だった。
こういう物がキライなのは、見慣れていないからなのか、それとも魔族がキライだからなのか。モンスターがいなくなった最上階で、リアムはようやくそれを考える時間ができた。
出会うと襲い掛かってくるモンスターを好きになれと言うのはムリなのかもしれない。
それに、襲い掛かって来るからと言って、それを倒すリアム自身も、好かれはしないだろう。
青い空に緑の原、皆が住む家や、人々が集まる商店。
自分が居たいと思うのはそこだと、リアムは改めて思った。
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