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「ジャックのいない日はなかったの。わたしが物心ついた時には一緒にいたんだから!」
「悪かった」
「あなたになにがわかるの! ずっとあった温もりがなかったのよ。玄関に首を向けたままで」
思い出すだけで辛く、悲しくて涙が流れていく。頬を伝う涙が制服を濡らす。
うまく言葉が紡げないことに花奈は苛立った。
「本当はもっと一緒にいたかったのよ。ジャックはもっと遊びたいって思ってた。きっと、きっと!」
ついに花奈は泣き崩れてしまう。咲也はそんな花奈に何をするでもなく、黙っていた。
長い沈黙だった。ただ、花奈の泣く声だけが聞こえる。
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