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「そんなはずはない。金色の髪、顔立ち、そして何よりクレスの剣を使っている…君はアンジャナ以外の何者でもないはずさ!」
「違うのよ!私はアルモ!!三日月同盟のソレイユとリュンヌの娘、アルモなの!!」
「ええい!!何をごちゃごちゃとぬかしておる!!」
“ブゥン!!”
私とロザンが、私の出自について言い合ってしまったせいで隙が生まれ、二人で押さえつけているはずだったクビラが強引に私たち2人を押し返し、私たちは後方に仰け反ってしまう。
が、すぐに態勢を立て直した私たちは、再びクビラに向け、それぞれの得物を構える。
“““ザザッ”””
3人が同時に地面を蹴る。
“ギィン!!”
私よりもスピードの速いロザンが、クビラと刃を交える。
そして…
「ハァァァァァ!!!」
“ブゥン!”
「なんだと!?」
ロザンが気合を入れた掛け声と共に、自らの得物に力を込め、刃を交えているクビラの得物を上空へと吹き飛ばした。
「アン………いや、アルモ、いまだ!!」
得物を上空に飛ばされ、丸腰状態となったクビラに向かって、私は月明りの剣を振り下ろそうとする。
だが…
「我には水銀があることを忘れたか!?」
「!!まずいわ!ロザン、この場から離れて!!」
「アルモ、何を言って…」
「いいから言う通りにして!奴の…クビラの魔法は、まずいわ!!」
“ザザッ”“ザザッ”
クビラに飛びかかろうとした私はすぐに態勢を整えると、クビラとは反対方向に飛び退いた。
そして、私の忠告を聞き入れたロザンもまた、私よりもワンテンポ遅れて、クビラとは反対方向へと飛び退いた。
「その程度の距離で、我の魔法を完全に防げるとでも!?」
「安い脅し文句ね!この前の戦いで、あなたの魔法は見切っているのよ!?」
「ほほう。強くなっているのが、まさか自分たちだけだと、思い込んでいるだけなのではないか!?」
「なんですって!?」
「まぁ良い。我の魔法を見れば、すべて分かることよ。水銀の味、とくと味わうがいい!!メルクーーーーーリュス!!」
次の瞬間、以前戦った時よりも広範囲に、水銀の雨を降らせる雲が立ち込めると、一瞬のうちに水銀の雨が周囲を包み込んだのだった。
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