とりあえず、結婚してもらう

2/14
5651人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
  「お前に選択する権利があると思っているのか」  そう奏汰は言い放つ。 「どんな横暴ですか。  此処は奴隷市ですか。  女工哀史ですか」  なにを言ってるんだお前は、という顔で見られる。 「俺もお前と結婚などする予定はなかったんだが、仕方がない」 と奏汰は言う。  仕方がない? 「実はあのあと、俺の送ったメールを読んで、白河さんが、じゃあ、奏汰くんの仲人をするために元気にならなきゃな、と言い出して、奥さんが涙を流された――  まではよかったんだが」 と奏汰はスマホを手に、また渋い顔をする。 「いや、結果的には良かったんだが。  白河さんは元気になってしまわれた」  自分で言っておいて、少し上を見、 「しまわれたってのも変だな」 と言い直していた。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!