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「肌がキレイに見えるなら、女優さんなんて何匹も飼ってそうですね」
ブローカーがいて、闇取引なんかもありえる。
中央に輝虫に憑りつかれた人がいて、キレイになりたい方々が「こっちの肌は甘いぞ」なんて歌いながら誘惑するわけだ。
なんて妄想してたら、老人は目をひん剥いて顔を近づてきた。
「ああ、いるとも。いや、いないかな」
どっちだ。
「通常、輝虫は目には見えない。だがそれが見える人間が稀に存在するんじゃ。古い昔から輝虫とそれが見える人間との闘いは始まっていた」
「闘い?」
「まあ、その話は別の機会としよう」
トウフは釈然としなかったが、老人の視点がグルグルまわっているのに気づいて言葉を飲み込んだ。昼間の公園には、老人とトウフの姿しかなった。もし何かあったらトウフが助けないといけない。
「ああ、なんでもない。体はもう少しで元気になる。輝虫のことを話していたので、つい面白くなってな」
「輝虫が居るかいないか、自分自身はわかるんですか」
「さあな。だが居なくなった後はわかる。尋常じゃなく眠くなる。輝虫は、人間の元気の源みたいなもんじゃ」
人の元気を作るモノが、人の体を蝕んでいく。ある意味、座敷童みたいなモノだ。存在する時は栄えるけれど、去ると衰退していく。
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