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「瞳ちゃんが葵ちゃんがいいと思います」と手を挙げて発言したのだ。
葵ちゃんというのはつまりわたしのこと。特別足が速いわけでもないのにわたしを選んだのだ。
クラスのみんなからざわざわと話し声が聞こえてきた。(なんで葵ちゃん?瞳ちゃんの方が速いのに……)
それもそうだ。クラス一足が速いのは推薦した本人瞳ちゃんだからだ。
そしてホームルーム委員が多数決を取りはじめた。
誰も反対するものはいなかった。
葵は、一番前の真ん中の席に座っていた。
瞳ちゃんは一番後ろの席にいる。
わたしは、後ろを振り返り瞳ちゃんの顔を見た。
するとざまあーみろという顔をしていたのをわたしは見逃さなかった。
そして、わたしはハッとした。
あの時、誰だか分からなかった視線は瞳ちゃんだったのではないかと……
もしかして瞳ちゃんは、大輝くんに好意を持っているのかもしれない。
だからなの?
子供のわたしにはどうすればいいのか分からない。
子供のわたしが考えたのは、それ以来大輝くんと遊ぶことをやめた。
するとビックリするぐらい嫌な思いをすることはなくなった。
そして確信へと変わっていった。
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