1 ボランティアたち

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「私、この村興しプロジェクトの担当をしております大庭(オオバ)と申します」 「あっ、日辻(ヒツジ)です」 目の前の名刺を受け取りつつ呟くように名乗ると、 「日辻さんですね」と、大庭はファイルの中のリストに 小さくチェックを入れる。 そして彼は、相変わらずにこやかなままで 奥に、たった一つだけある扉へと手を伸ばした。 「では、説明会までは、まだ少し時間がありますので あちらの会議室でお待ちください。 あぁ、暑いですからね。よろしければ、そちらの自販機もご利用ください」 ありがとうございます。 爽平は、小さく礼を口にしつつ頷き返した。 そして、示された奥の扉の横に置かれた自動販売機へと素直に向かい、 麦茶を一本購入する。 ガコンと大きな音をさせて出て来たペットボトルを手に 彼は、「会議室」とプレートの張られた下のステンレス製の扉に 手を伸ばした。 微かな音と共に開いた扉の向こうは、 役場スペースと、ほぼ同じ大きさの部屋。 そこに、左右に三列ずつの長机とパイプ椅子が設置されており、 一番後ろの隅に、若い男がポツンと一人座っていた。
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