1 ボランティアたち

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「あぁ、生き返るわね、この涼しさ」 そう言う女性の声に続いて、爽平と同じ年恰好の男が三人と女性二人。 それに中年に差し掛かった女性がもう一人、ガヤガヤと部屋に入ってくる。 「あら、喫茶店で、のんびりし過ぎちゃったかしら」 「おはようございます」と声を掛けてきた中年女性が、 独り言のように朗らかに言う。 「でも、まだ15分以上もありますよ」 中年女性の言葉に応えるように若い女性の一人が言いながら、 爽平たちとは反対側の長机に、どんどん納まっていく。 だが、それをポカンと眺める爽平には、 こんな時間に、あの小さな喫茶店が開いていたことの方が驚きだった。 そのせいで、自然と彼は呟いていた。 「随分、早くから開いてるんだ」 すると話好きならしい中年女性が、早速、乗ってくる。 「そうなの。私も、ビックリしちゃったわよ」 そして、ローカル電車が少ないと聞いて早めに行こうとしたら、 たまたま皆が同じ電車に乗り合わせたという話から、 早く着き過ぎたので、ちょうど店を開けていた喫茶店に入った話を 女性たちが賑やかに始める。 その中、再び会議室の入り口が開き、 今度は中年男性二人と二十代くらいの女性が一人、 役所の大庭と二~三十代と思しき男性二人を引き連れるようにして ズラズラと入ってきた。
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