1 ボランティアたち

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そんな諸々の理由を抱えて、自他ともに認める夜行性の爽平が とんでもない時間に起きて、新たなる体験をするべく 人もまばらな始発電車に乗り込んでから四時間余り。 彼は、一日に両手の指くらいしか走っていないローカル線から 小さなプラットホームに降り着いた。 冷房の効いていた車内から出た途端、ジリジリする暑さが もんわりと彼を包んだ。 それと同時に、都会とは比べものにならないセミの大合唱が耳に届いてくる。 あっつ……。 胸の内で呟いた独り言とは裏腹に、包まれた暑さが 彼の馴染んだ夏の暑さよりも、わずかばかり爽やかであることに 小さな好感を抱く。 その中、彼は小ぢんまりとした駅舎に向かってゆっくりと歩を進め、 改札へと向かった。 だが駅舎の中の改札を前に、彼は、にわかに足を止めた。
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